父が病院で手術した。

多分こうすれば大多数の人クリックするでしょう。タイトルに騙されるなよ。

 

■病室に入ると、元気が無さそうに青白い顔をして寝ている父がいた。「誰だこの体調悪そうなオッサン」というのが第一印象だった。父親が発する声を聞くと「ああ、親父だ」と思った。めっちゃ「患者」みたいな風貌だったけど。

 曰く、「体重が増えた為、生活習慣病を予防しようと食生活を見直し、運動する習慣を身につけようとした。そしてバトミントンを職場の同僚とやっていた所アキレス腱を断裂した。」らしい。個人的には結構お茶目な理由で定年間際の父親が怪我して入院したという状況がめっちゃ面白かった。手術したら早く治るらしいから手術したらしい。ただまぁ父親がベッドで寝たきりの生活をしていたりするとこちらの精神状況は不安になるし、ご飯に連れて行ってもらえなくなったりすると私の食生活は乱れる一方だし、何より経済的に自立出来ていない私は父親が働いてくれないと困る。(いや、父親に何かあった場合私は働いたり、女性のヒモになったり、生きていく為の対処法をとるつもりではいるよ。ただ、父親の怪我もそこまで酷いものではないらしいから、領収書にお世話になったり、女性モノのシャンプーの匂いを自分が漂わせてることに違和感を覚えたりするのはまだ先の話になりそう。)

 お見舞いの品を用意するのを忘れたので、「何が欲しい? 売店行ってくる」と聞くと、「朝まで何も食べれない」とのこと。幸いにも私とは違い父には脂肪がたんまりとあるので、痩せるいいチャンスだとは思うけれど、同時に父は食べることで幸せを感じる人なので、元気が無い父を見るのは少し寂しかったりもした。なので鞄の中に入っていた本を父に置いていくことにしたら「やったー! 暇を潰せる!」とめっちゃ喜んでいた。昔「入院してる時の一番の敵は暇」という話を思い出した。(余談だけれど、私がが父親の病室に置いてきた本が「大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ(辛酸なめ子著)」とかいう定年間際の父には遅すぎる本だったのが個人的にウケた。もし仮に私が入院することになったらこち亀とかブリーチとか読んでみたい。あんまりちゃんと読んでないし。完結したし。)

 馬鹿みたいに下らない話から、お互いの近況をしたりして、30分程で帰ってきた。もう少しゆっくり話したかったし、馬鹿みたいな話もしたかったけれど、相部屋の他の患者の方がそういった馬鹿な話をする度に「ばこん!」とテーブル下の引き出しを開けしめするのでやめた。怖かった。親父あの後恐喝とかされてないかな。

 病院から出た時に、少し不安になったりもした。やけに父に元気がなかった気がした。年を重ねていくとタイムリミットが迫っているということを実感したりするのだろうか。私がまだ本当に若い為に、父のそういった部分を分かることが出来ないのが少し寂しく感じた。老いというものは、どんなものなんだろうか。死を感じるというのは、どんな気分なんだろうか。

 

 原因がめっちゃお茶目だったからギャグとして受け止めようと出来るとはいえ、父親が病室にいるのを見るのはあまり気分のいいものではない。早く治ってほしい。